【大会レポ】第16回 長瀞アルプストレイルレース|初トレイルで感じた難しさと楽しさ

トレイルラン大会のスタート前に並ぶランナーたちの後ろ姿
スタートを待つランナーたち。静かな緊張感が会場を包んでいた。

はじめに

ロード中心の練習を続けてきた中で、初めてのトレイルラン大会として第16回 長瀞アルプストレイルレースに参加した。

大阪マラソンへ向けたトレーニングの延長線にある挑戦、そして「走る場所が変われば、走りも変わるのか」を確かめる機会でもあった。

これまで走ってきたのは、舗装された道ばかり。
坂道や不整地を想定した練習は公園で一度走ったのみで、トレイルランに必要とされる脚力やバランス感覚、ペース配分についても明確なイメージを持てないまま当日を迎えた。
▶トレイルランに向けた練習内容については、
大阪マラソン練習記録 Week7&8」「大阪マラソン練習記録 Week9」にまとめている。

シューズやウェアといった装備も、決して万全とは言えない。
「本当にこの準備で大丈夫なのか」という不安を抱えながらも、それでもスタートラインに立ってみたいと思ったのは、未知の領域に一歩踏み出してみたいという気持ちが勝ったからだ。

このレースは、記録を狙うというよりも、今の自分の現在地を知るための挑戦。
ロードとはまったく違う環境の中で、どのような走りができるのか楽しみでもあった。


大会概要

  • 大会名:第16回 長瀞アルプストレイルレース

  • 種目:16.5km

  • 記録:2時間16分59秒

  • 天候:晴れ、8℃

  • コンディション:乾いた路面、一部急勾配あり


登り坂が突きつけてきた現実

スタートしてからはしばらくロードを下っていく。その後は長い上り坂が待っていた。
坂を登り始めてすぐに感じたのは、登り坂の負荷がロードとはまったく別物であるということだった。

心拍は想像以上の速さで上がっていき、心肺への負荷はこれまで経験してきたロードレースとは比にならない。
脚力も追いつかず、上りでは基本的に歩く時間が続いた。

正直なところ、これまで積み上げてきた練習がほとんど活きていないように感じる場面も多かった。

長瀞アルプストレイルの急な上り坂に続く木製の階段
心拍が一気に上がる急坂。ここでは走るよりも耐える時間が続いた。

ペースを奪われるトレイルの難しさ

トレイルランの難しさは、「一定のリズムを作れないこと」にもあると感じた。

中盤でようやく走りのリズムに乗れそうになると、容赦なく現れる急坂。
上りと下りが細切れに続き、ペース感覚を掴むことができない。
走っては歩き、歩いては走るの繰り返し。ロードでは身体の調子が上がっていく中盤にこのペースの乱高下は体力的にも精神的にもかなり応えた。

ロードでは当たり前だった「このペースで刻む」という感覚が、ここでは通用しなかった。


怪我なく終えられたこと

レース中、足首を2回捻った。ラスト3km地点で、下り坂で酷使し続けてきた大腿四頭筋も攣りかけた。
いずれもレースを諦めるほどのアクシデントにはならず何とか走りきることができた。

また、レース後に痛みが残ることはなく、怪我なく終えられたことは大きな収穫だった。
ロードと異なり一歩の着地ミスで大怪我をする可能性があるトレイルラン。
「無事に終える」ことの価値を改めて実感するレースでもあった。


それでも感じた、トレイルの魅力

正直に言えば、上り坂や下り坂では景色を楽しむ余裕はほとんどなかった。
急勾配の登りでは視線は自然と足元に落ち、呼吸と心拍の高まりだけが意識を占める。
下りでは一歩の判断が怪我につながりかねず、やはり目は地面から離れない。
どちらの区間でも、風景を味わう余裕はなく、ただ「進むこと」に集中していた。

ただ、平坦な区間に入ったとき、ふっと肩の力が抜ける瞬間があった。
足音以外にほとんど音のない森の中で、木々が静かに揺らめき、冷たい空気が肺に入ってくる。
ロードでは感じたことのない、自然の中を走っているという実感が、遅れて身体に染み込んでくる。

そして、山頂から見下ろす景色。
息を整えながら目を上げた先に広がる眺めは、これまでの苦しさを一度リセットしてくれるようだった。
「ここまで自分の脚で登ってきた」という事実が、その景色をより鮮明なものにしていた。

「これがトレイルランの入り口なのかもしれない」
レースの終盤、ようやくそんな感覚を掴みかけていた。

林に囲まれたカーブしたトレイルランコースの風景
林に囲まれたトレイルコース。自然の中を走る心地よさを感じる区間。
山頂付近の平坦なトレイルコースと、奥に見える街並みと空
山頂付近の平坦なトレイル。ようやく景色を楽しむ余裕が生まれた。

振り返りとこれから

今回のレースは、自分の現在地をはっきりと示してくれた。

トレイルランでは、ロードで培ってきた走力だけでは足りない。
脚力、心肺、そして一定のペースで刻むというこれまでの感覚そのものを、一度手放す必要があるのだと痛感した。

それでも、自然の中を走るという体験は確かに魅力的だった。
次は、もう少し余裕を持って走りたい。次は、景色を見る余裕を残したまま進みたい。
そして次は、少しでも速く、少しでもうまく走りたい。そんな思いが、レースを終えた今、静かに湧き上がっている。

この経験を、大阪マラソンへ向けたトレーニングにどう還元していくのか。
ロードとトレイル、異なるフィールドで得た感覚をどう繋げていくのか。
その問いを持ち帰ることができたこと自体が、この大会に出た大きな意味だったのだと思う。

レース後は疲労を抜きながらロード練習へと戻していった。
リカバリー期間の様子は、Weekly Trainingの記事にまとめている。
大阪マラソン練習記録 Week10(リカバリー週)


注釈

・使用シューズ:PUMA Velocity Nitro 3
・データリンク:Strava, 第16回長瀞アルプストレイルレース